どーも直行直帰の店主です。
先日自作したビリヤニの写真を各種SNSに投稿したところ、PV数も多いし好意的な反応ばかりでした。
カレースター水野仁輔氏もビリヤニに特化したレシピ本を出すなど、ビリヤニブーム到来の匂いもあります。
東京を中心にビリヤニ専門店もチラホラ出てきました。
私もちょくちょくビリヤニを作っていましたが、調べれば調べるほど色んなレシピや各地域で特徴のあるビリヤニがあることが分かり、頭の整理も兼ねてPCに向かっております。
なかなか壮大なテーマなので見解の違い等もあるかと思いますが、その際はコメント等でそっとご指摘ください。
そもそもビリヤニとはなんぞや?
スパイスを多く使った炊き込みご飯と思ってください。
カレーとご飯、数種類のハーブやスパイスを層にして重ね蒸し上げる米・スパイス・ハーブの傑作集合体のような料理です。
具材は様々ですがマトン(ヤギ)が一番多くてその次がチキンでしょうか。
沿岸部では魚介を使ったビリヤニもありますし、インドらしくベジ使用のベジタブルビリヤニというのもあります。
またライタと呼ばれるヨーグルトサラダと一緒に食べられることが一般的です。
混ぜて食べることで、また違った味わいになります。
インドではなぜかコーラに合うとされていて、一緒に注文する人も多いとか。
日本の家庭での炊き込みご飯は炊飯器で作られることが多いですが、インドではダム・プクト製法という方式で作られることが一般的です。
低温でじっくり具材に火を通していく製法で、インドでは鍋とフタの間に練った小麦粉の生地を挟んで密封し、(ちょっと汚い濡れタオルみたいなもので代用しているものもあるw)フタの上にも炭を置いて上下から熱を与えます。
こうすることで蒸気で鍋の中の具材に火を通すことができるのです。
ビリヤニの起源
その起源は15世紀まで遡ります。
一説によるとムガル帝国第5代皇帝シャー・ジャハーンの皇妃ムムターズ・マハルは、ある日兵士の宿舎を訪ねた際、弱った兵士を見つけました。
そこで王妃は料理人たちにこう言い放ちます。
この兵士に肉やら米やらスパイスやら色々入ったとにかく栄養のあるものを食べさせてあげなさい!
これがビリヤニの起源だそうです。
諸説あるのでどれが本当かはハッキリと分かっていませんが、イスラムに起源を持つ料理であることは間違いありません。
ビリヤニ(Biryani)の言葉の成り立ちもペルシャ語のBirian(Fried before cooking)とBirinji(Rice)が合体してBiryaniになったと言われています。
ちなみインドで最も有名な世界遺産タージマハルはムムターズ・マハルの墓です。
ビリヤニ好きならば一度は訪れるべき聖地と言えます!
ビリヤニってどんな種類があるの?
広大なインド亜大陸にはその場所によってビリヤニのレシピが違うのは前述した通りです。
ここではインド各都市のビリヤニの特色を見ていきます。
ハイデラバード(南インド・テランガーナ州)
日本でも有名なインドビリヤニ2大巨頭の一つがハイデラバードです。
イスラム系のニザーム王国が1948年まで統治していたこともあって、イスラム文化の影響が今もなお色濃く残っています。
生肉から調理するカッチ式
ハイデラバードのビリヤニの作り方はカッチ式が有名です。
カッチ式はザックリ言えば肉を火に通さない状態で半茹での米と一緒に鍋に入れて、米を炊き上げながら肉にも火を通す方式のことを指します。
生肉の状態から作るため難易度が高く、普通のレシピ本やユーチューブのレシピはカッチ式の製法ではありません。
ハイデラバードがビリヤニの本場だと言われながら、その昔ながらの製法はインド国内でも少数派のようです。
絶妙な火加減が要求される難しい技法ですが、今度挑戦してみたいと思っています。
果たしてどんな味になるのでしょう。
米はバスマティライスが使われる
ハイデラバード式のビリヤニにはバスマティライスが使われることが一般的です。
インドのビリヤニそれすなわちバスマティライスかのように語られたりもしますが、ケララ州のマラバールビリヤニではバスマティライスよりももっと小粒なカイマライスが使われますし、タミル式のビリヤニも一部ではシーラカサンバライスという別種の米が使われます。
インドの米は日本米のように品種が違うとかいうレベルではなく、形や色まで違う場合があります。
ラクナウ(北インド・ウッタル・プラデーシュ州)
インドビリヤニの2大巨頭のもう一つがラクナウです。
ニューデリーの北東約500km、ネパールの国境まで約200kmのインド北部の街です。
19世紀までイスラム系のアワド藩王国が治めていたため、イスラム文化の影響が今でも残りラクナウの料理はアワド料理とも呼ばれています。
ラクナウのビリヤニはパッキ式
ハイデラバードのカッチ式ビリヤニは生肉から火を通す製法でしたが、ラクナウのビリヤニは事前に肉に火を通してからライスと合わせて炊き上げるパッキ式と呼ばれる製法で作られます。
むしろこっちの方がメジャーな作り方で、生肉から作るカッチ式を知らないというインド人もいるそうです。
生肉から作るカッチ式は難易度が高いので、レシピ本やネット上ではパッキ式が多く採用されています。
お肉を柔らかくするために事前に圧力鍋で柔らかくしてダム・プクト製法で炊き上げる方法もあります。
ご家庭でチャレンジしてみる場合でも失敗が少なくオススメの方法です。
生米から作る調理法もある
タミル・ナードゥ州の州都チェンナイから南に約400km程南下した場所にDindigulという人口40万ほどの比較的小さな街があります。
実はこの街、別名ビリヤニシティとまで言われているビリヤニの名所なんです。
その製法はちょっと独特で、洗って水を吸わせたお米を火を通した肉と合わせて炊き上げる生米蒸し炊き方式です。
今まで紹介したビリヤニは肉こそ生から炊き上げるものはありましたが、米に全く火を通さない状態で肉と合わせて炊き上げることはありませんでした。
そういう意味では米のカッチ式ビリヤニとも言えます。
生米の状態から炊き上げるので水分を多く必要とします。
画像を見た質感で分かると思いますが、ちょっと水気が多目のビリヤニです。
日本でビリヤニと言えば、米の部分、肉に近い部分、サフランで色づいた部分と米を重ね合わせたことでできる層を楽しむものだ!という認識を持っている方も多いですが、Dindigulのビリヤニはそうではありません。
均一色でお米もパラッとしていません。
バスマティライスも使っておらず、シーラガサンバライスというお米を使っています。
ビリヤニも色々あるんですね。
プラオとの違いは?
ビリヤニによく似た料理でプラオというのがあります。
ピラフみたいなもんでしょうか。
よく言われるのがビリヤニとプラオは何が違うの?
っていうことなんですが、明確にココ!という違いはありません。
アジアハンターの小林真樹氏の著書「食べ歩くインド 北・東編」によると、前述したインド北部のラクナウではプラオがビリヤニの源流だとも言われており、「ラクナウのビリヤニはそれつまりプラオのことだ」という人もいるそうです。
しかしそれでは面白くないので、ビリヤニにあってプラオにないものを挙げていきたいと思います。
うーむ。
なんとも抽象的な内容になってしまいました。
結局作り手がビリヤニと言えばビリヤニだしプラオと言えばプラオというありきたりな結論にいたります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
インド広しでビリヤニにも色々な種類があることが分かっていただければ嬉しいです。
マリネしたり揚げたり重ねたり蒸したりとなかなか手間がかかる料理ではありますが、フタを開けた瞬間の香りは何とも言い難い達成感のある造り手にしか味わえない香りです。
今後直行直帰でも炊飯器で作るビリヤニなど作ってみようかなとちょうど生地を書きながら考えていたところです。
インドでは結婚式などのハレの日に食べられることも多いビリヤニ。
興味を持っていただけたなら、まずは身近な人のお誕生日や記念日なんかに作ってみてください!
きっと喜ばれますよ(^^)
ではまた!
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