インドとSDGs(児童労働の実態と畜産による環境破壊)

書籍紹介

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今日は読んだ本の話を。

人新世の「資本論」 @斎藤幸平

人類の経済活動が地球を破壊する「人新世」=環境危機の時代。
気候変動を放置すれば、この社会は野蛮状態に陥るだろう。それを阻止するためには資本主義の際限なき利潤追求を止めなければならないが、資本主義を捨てた文明に繁栄などありうるのか。いや、危機の解決策はある。ヒントは、著者が発掘した晩期マルクスの思想の中に眠っていた。世界的に注目を浴びる俊英が、豊かな未来社会への道筋を具体的に描きだす。

(「BOOK」データベースより)


超ざっくり言えばこんな話。

著者:斎藤幸平氏(Twitterより)

資本主義のせいで地球環境がぶっ壊れてる。
そろそろ資本主義捨てましょう!


何やら難しい話のようにも聞こえるが言ってる事自体はシンプル。
例えば環境問題。

環境に優しい電気自動車の代償

本の中の一例。

電気自動車にはリチウムイオン電池バッテリーが欠かせないが、そのリチウムをどうやって採掘しているか?って話。

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チリのアタカマ塩湖は世界で最も豊かな高品質リチウムの鉱床として知られていて、同地でのリチウム採掘は、塩湖に点在する鉱床を通して地下1.5mから60mの場所からポンプで塩水を汲み上げ、水分を蒸発、資源を濃縮させる方法で行われている。
このポンプで水を汲み上げる方法によって水源が枯渇して生態系を壊し、引いては環境破壊につながっているとの主張。

環境に優しい電気自動車を作っても
その代償は世界のどこかに転嫁されている!

代償を払っているのは多くの場合発展途上国で、このままでは格差は拡がる一方かつ環境破壊はもう待ったなしのとこまで来ている…とのこと。

(個人的にはどのぐらいチリのアカタマ塩湖の環境が破壊されているのかザックリでも数字で示してもらわないとこの話の良し悪しが判断できないが…。)

初めに断っておきたいのが私がこの本の主張に全面的に同意して、「資本主義やめて脱成長じゃー!」と言いたいわけではないということ。

ただ気になったのは、この本で言われているところのインドでの資本主義の実態、負の側面があるのかということ。

インドの児童労働の実態

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インド産の綿花は16世紀からの主要輸出品。

綿花は主にインドや中国、アメリカで生産され、2017年にはこの3か国で世界の生産量の約62%を占めている。

そしてこの綿花栽培農家の多くが貧困に喘いでいる。
その原因は農家側に綿花を買い取ってくれる企業間との契約上、農作物の価格設定権限がないためで、つまり安くこき使われている。

結果、親は子供を学校に行かせず仕事の手伝いをさせてしまう。

インドでは約40万人以上の子どもたちが働いており、その7~8割は女児と言われている。
一日働いてもらえる賃金は2米ドル程度しかない。

一見日本人には関係ないようにも見えるがそうでもない。
インドの綿花の主要輸出先は中国(衣類輸出国世界1位)、バングラデシュ(同2位)、パキスタンである。

今の日本では中国産の衣類を着たことがないという人の方が少ないんではないだろうか。
児童労働などは日本にいれば一見無関係のように見えるが、
私達が着ているものが児童労働の成果物かもしれないと考えるとそんなに遠い世界の話ではない。

仕事で取引先にばら撒いたSDGsチェックシート

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この本を読んだときに仕事で取引先にばら撒いたSDGsの項目チェックシートを思い出した。

約2年ほど前だったかな。
会社のSDGsの取り組みの一環としてSDGsチェックシートなるものを作成し、取引先様各位に解答を依頼した。

「環境に配慮した製造活動を行っていますか?」とか、
「労働時間管理の具体的な取組内容は?」とか、

アンケート内容はいかにも大企業が「やってますよ感」を出したいだけの取り繕った内容だったが、
その中に「自社または取引先で児童労働をさせていませんか?」という
どうやって確かめるんだソレ!?っていう項目があった。

そのチェックシートを取引先にばら撒いたときに着ていたシャツやパンツや靴下は中国製だったが、当の本人が(考え方によっては)児童労働に加担していると考えるとなかなか滑稽なようで笑えない話。

実は畜産大国なインド

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農畜産業振興機構によれば、2018年の世界主要各国の畜産(生産)実績は以下の通り。

牛肉🐮鶏肉🐔生乳🥛
米国
(1226万トン)
米国
(1936万トン)
インド※1
(1億6700万トン)
EU28カ国
(800万トン)
ブラジル
(1336万トン)
EU28カ国
(1億5926万トン)
ブラジル
(990万トン)
EU28カ国
(1,226万トン)
米国
(9869万トン)
中国
(644万トン)
中国
(1170万トン)
中国
(3225万トン)
インド※1
(427万トン)
インド
(485万トン)
ロシア
(3145万トン)
出典:絵で見る世界の畜産物需給  畜産の情報 2019年12月号
※1 水牛肉、水牛乳を含む

菜食主義の印象から畜産のイメージはあまりないインドだが実はなかなかの畜産大国。
しかも生乳の生産量にいたっては世界一。

なぜここで急に畜産の話を出したかと言うと、実は畜産が環境破壊につながっているという事実がある。

とあるNGOによれば、地球の陸地の26%が、家畜の放牧地に使われており、世界の農地の75〜80%が、家畜用の飼料の生産に使われている。

例えばブラジルのアマゾンでは畜産用の農地開発のために森林ががっつり失われており、火災が発生し生物多様性が失われるなどその問題はなかなか深刻。
また、家畜の排泄物を川に流すことによって水質汚染も進行している。

一説に拠れば畜産業で排出している温室効果ガスは世界全体の14%を構成し、地球上の全ての交通手段(車、トラック、飛行機、船舶、列車)が排出する量と同レベルという話もある。

ヴィーガン食が脚光を浴びつつある

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こんな話が出てきたらヴィーガン食が注目されるのも当然ではなかろうか。
今世界で最も有名な環境活動家、スウェーデンのグレタ・トゥンベリももちろんヴィーガン。

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両親を説得して肉食を辞めさせたらしい。
最近では大豆ミートや培養肉など、まだ小さな炎ながら脱畜産に向けた動きも出てきており、数年語に大きなムーブメントになっていてもおかしくない。

菜食料理こそインド料理の真骨頂とも言えるので、もし世界が脱畜産・脱肉食となってもそこまで適応には苦労しないかなとも思える。
(たまにやる贅沢でビールを飲みながら焼き肉が食えなくなるのは少しキツイが…。)

まとめ

今回も取り留めのない内容になってしまった。

繰り返すが私は著者の主張を支持しているわけではない。
何か主張したいことがあるわけでもないが、ただ一つだけ事実として言えるのは成功や発展という光には必ず影が伴っていることは事実で、それがインドにおける児童労働だったり畜産による環境破壊だったり。
ツケを払わされるのは途上国である場合がほとんど。

パリ協定の温室効果ガス削減目標もこれから発展しようとする途上国からしたら迷惑な話。

温室効果ガス削減って言っても、半分近くはアメリカと中国のせいでしょ。
途上国の削減目標を緩くして、アメリカと中国でもっと頑張ってよ!

モディの本音はきっとこんな感じかな。

2018年の国別二酸化炭素排出量は1位中国28.4%、2位アメリカ14.7%、3位がインド6.9%、5位が日本3.2%となっている。)

親としては自分の娘やその孫にも住みやすい地球が残っていて欲しいと思うところ。
明日からヴィーガンになるつもりはないが、世界がどうなってもいいように身の振り方は考えておいた方が良さそうだ。


今日はこのへんで。
ではまた!



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この記事を書いた人

福岡の神出鬼没完全不定期間借りカレー店「直行直帰」の店主
かつてカップラーメンを料理と呼んでいた男が綴る日々のカレー・インド料理研究の記録、間借り出店情報、インドにまつわることを吐き出します。
実態はイエスマンになれない社会不適合なサラリーマン。

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