インドカレーにおいて化学調味料は悪の権化か?

スパイシーライフ

どーも!直行直帰の店主です!

いつか食べたいと思っているインド料理の名店が福岡と東京にそれぞれ1店舗ずつあります。
どちらも日本人シェフがやってるお店なんですが、そのお二人に共通していることがあります。

化学調味料が苦手

直接の面識がないので店名等は伏せますが、
どちらも界隈では知らない人がいないほどの超有名店の主です。
お二人は化学調味料が口に合わないので普段から化学調味料が含まれているものは食べないし、
食べてしまったとしても分かるそうです。

SNSの発信を見ていても化学調味料を嫌っていることが見て取れます。

激旨インド料理を作る人の言うことだから信憑性はあるし、
真似してみることから始めようと思ったところ、あることに気が付きます。

直行直帰の店主

そもそも化学調味料ってなんだ…?

化学という言葉のニュアンスが食品となんとなくそぐわないので、
あまり良くないんだろうなとぼんやり思っていたぐらいで、
もちろん食品のパッケージを見て、
化学調味料が含まれているかどうかなんて気にしたこともありません。

お二人のシェフはなぜ化学調味料を敬遠しているのか、
理由が知りたかったので色々と調べてみました。

なお、本記事では化学調味料イコール旨味調味料とします。
(広義では香料や着色料などの食品添加物も化学調味料と言ったりするようです。)

化学調味料ってなに?

化学調味料イコールうま味調味料のこと

化学調味料というワードは放送業界では禁止用語だそうです。
「化学」という言葉が調味料に対して拒否反応を起こすからで、
現在では「うま味調味料」という言葉に統一されています。
(本記事では化学調味料で統一して記述します。)

商品化もされていて、一番有名なのが味の素ですね。

化学調味料はどうやって作られている?

出典:味の素株式会社

「化学」という言葉から人工的に作られたようなイメージがありますが、
味の素の場合、原料はさとうきびです。
他の化学調味料も同様ですが、自然由来のものを使っています。

さとうきびの糖蜜を発酵させ、純度を高めて結晶化させて作られます。

イメージダウンにつながったチャイニーズ・レストラン・シンドローム


化学調味料が敬遠されるようになった背景には1960年代に中華料理を食べた少数のアメリカ人に頭痛、赤面紅潮、発汗などの神経興奮性作用が出た、チャイニーズ・レストラン・シンドローム(中華料理店症候群)があります。(症状自体は大部分が軽度のものだったようです。)

このとき中華料理に含まれていた化学調味料のグルタミン酸ナトリウムという成分が原因ではないかと言われたことがキッカケで化学調味料のイメージダウンにつながりました。

肯定派の意見:化学調味料がカラダに悪いという根拠はない

日本うま味調味料協会によると、先述したチャイニーズ・レストラン・シンドロームも多くの研究結果によってグルタミン酸ナトリウムと直接の因果関係がないということが証明されました。

また、国連の国際食糧農業機構(FAO)と世界保健機構(WHO)によれば、化学調味料であるグルタミン酸ナトリウムおよびその他の塩類、イノシン酸やグアニル酸などの核酸類は、一日の摂取許容量を制限する必要がなく、乳幼児も大人と同じように代謝できる安全な添加物であることが確認されています。
(https://www.umamikyo.gr.jp/spice/safe.htmlより一部抜粋して記載)

直行直帰の店主

私は「化学調味料は安全だ!」
と言いたいわけではないので、
続いて反対意見についても記載します。

否定派の意見:長期的に見れば害があるかもしれないよね

人類の歴史から見れば化学調味料の歴史はまだまだ浅く、
長期的に見て人体にどのような影響を及ぼすかなどの研究結果は調べた限りは見つけられませんでした。

否定派はとにかく化学・人工由来のものを嫌っています。

化学調味料の製造工程では原料を発酵させることで旨味成分の純度を高めていますが、
この工程で発酵を促進させるために添加剤や薬剤を入れています。
また旨味成分そのものはグルタミン酸であって、化学調味料の成分はグルタミン酸にナトリウムがひっついている。このナトリウムが余計なもんというのが否定派の主な意見なようです。

直行直帰のカレーに化学調味料は不使用

Embed from Getty Images

これまで見てきたように肯定派と否定派の意見が入り乱れているので、
学者でもない私達はこれらの意見を踏まえた上で各々が判断するしかありません。

私個人はこの記事にて化学調味料を否定も肯定もする気はありませんが、
一つ言えることは、直行直帰の皿にうま味調味料は投入しておりません。
(少なくとも私が知る限りでは)

なぜならそれがインド的だと思えないから。
同様の理由で鶏ガラで取った出汁や、旨味成分であるグルタミン酸が含まれる昆布出汁も使いません。
味も和風っぽくなっちゃうし、インド料理のトガッた美味しさがなくなるのが嫌なんです。
インド的な美味しさが和風な美味しさに変わってしまったら、インド料理を作っている意味がなくなってしまいます。

(ちなみに…)インド人はめっちゃ味の素を使うwww

近年では味の素のインド進出もあってか、
インド人も化学調味料を使いまくっているらしいですwww

先程化学調味料を使うことはインド的ではないと思うとエラそうに言いましたが、
実は使った方がインド的なのかもしれませんwww(それでも使わないですけどね)

インドでどれぐらい味の素が使われているかよく分かる記事を見つけましたので最後にご紹介します。

出典:イ、インドで生活っすか!? SEASON 2

We strictly avoid Ajinomoto and other artificial food colours.
(訳:味の素や人工着色料は決して使っておりません)

ケララ州の小さな街のレストランにもこんな表記を各テーブルに置かなければならないほど
味の素がインドに広まり、また健康に意識を向けるキッカケにもなっているという一例だと思います。

結論:化学調味料不使用だから料理が美味しくなるわけではない

ここまで化学調味料とはなんぞやということを見てきて
当初の目的をほとんど見失っていました。

有名インド料理店に少しでもあやかりたいという気持ちで化学調味料について調べてみました。
先述したように直行直帰も化学調味料は使っていませんが、ではあの有名インド料理店のような味が出せるか?といったら多分それはないと思います。

というか有名シェフお二人のインド料理の美味しさは、
化学調味料も見抜く味覚の敏感さで作り上げた繊細な味によるもので、
化学調味料を使わないことが美味しさの本質ではないと思われます。

しかし冒頭でも述べた通りこの記事内での化学調味料とは、味の素などのうま味調味料のことです。
香料や着色料などの食品添加物はまた少し事情が違うので、
そのあたりについては別記事で考えたいと思います。



ではまたっ!



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この記事を書いた人

福岡の神出鬼没完全不定期間借りカレー店「直行直帰」の店主
かつてカップラーメンを料理と呼んでいた男が綴る日々のカレー・インド料理研究の記録、間借り出店情報、インドにまつわることを吐き出します。
実態はイエスマンになれない社会不適合なサラリーマン。

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